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増えつつある高齢者人口に加えて、2018年度には医療と介護のダブル報酬改定が予定され、より一層世間の注目を集めつつある介護業界です。
今や、全国のあらゆるところに大小の介護事業所が存在し、要介護者の増加に伴い、業界的には明るい未来があるようにも見えます。
しかし、その一方では、小規模事業所を中心とした倒産が相次ぎ、2017年は過去最高の倒産件数を記録することとなりした。

 

需要は大きいはずなのに、なぜ、ビジネスとしては上手く行かないのでしょうか?
また、介護現場は人手不足と言われ、介護職員は引く手あまたのはずなのに、介護人材は一向に充足する気配がありません。
深刻さを増す、介護ビジネスの実態について考えてみましょう。

介護ビジネスの実態

2000年の介護保険制度創設時には、大手の民間企業が介護事業に乗り出すなどが大きな話題となりました。
デフレ経済にあえぐ中、新たなビジネスチャンスを求めて異業種からの参入もありました。
しかし、その後は、一部の企業の不正な介護請求事件や相次ぐ撤退などもありました。
その後、一時期は新規事業者が増える状況もありましたが、近年は小規模事業所の倒産が非常に目立つ傾向にあります。

 

医療機関と異なり、介護機関は医療法人や社会福祉法人以外にも、営利法人やNPO法人による設置も認められています。
小さな事業所でも参入が可能な反面、実際の経営には難しい面が多いと考えられます。

介護ビジネスが抱える問題

介護報酬の不正請求

2006年には、コムスンショックと呼ばれる、大手株式会社による不正請求とその後撤退が大きな問題となりました。
その後も、介護報酬の不正請求と指定取り消しは、残念ながら無くなるどころか微増の傾向にもあります。
民間参入を誘導することで、市場の活性化をはかるという狙いは必ずしも功を奏してはいないという現実があります。

市場原理の停滞

介護保険制度では、公的制度への民間の参入が認められている以外にも、自費でのサービス提供が認められています。
そのような意味では、医療制度よりも民間にとってはゆるやかな制度といえます。
しかし、一方では、介護は大きな市場成長が見込めない領域とも言えます。
それは、なぜでしょうか?

 

一言でいえば、介護報酬を基盤に提供されるという意味において、総量規制がかかりやすい市場だからと言えます。
介護サービスは、原則的には要介護別に設定される限度額内にて管理されることになります。
利用者の負担は、その中の1割や2割などの定率負担と決まっています。

 

仮に、限度額内では賄えないサービスの提供が発生した場合は、はみ出した分は全額自己負担ということになります。
当然、1割と10割では大きな負担増になります。
銀行預金が世界一と言われる日本人の中でも、比較的貯蓄が多いとされる高齢者世代ですが、自費を払ってまで社会保障サービスを受けるという発想は未だに浸透していないようです。

増え続ける認知症

当初の想定以上の増加は、高齢者数だけではありませんでした。
高齢者に占める認知症の割合が非常に多い結果となっています。
身体的な障害が主な高齢者に比べて、認知症が中心の高齢者ではケアの方針が全く異なります。
しかし、現在はどこの介護施設でも認知症の重症度とは関係なく高齢者を受け入れているという現状があります。

 

認知症を取り巻く問題としては、グループホームの火災により多数の利用者が死亡するなどの事故が各地で報告されています。
今後、介護施設がより認知症の受け皿となるためには、様々な課題が残されていると言わざるをえません。

介護事業所の倒産

2017年に、過去最悪の結果を迎えた介護事業所の倒産ですが、その理由は主に二つです。
大まかには、販売不振と人手不足です。
安易な事業参入が相次いだこともあり、経営の質が低い事業所の多くが倒産したという状況です。
介護人材の人手不足は、さらに深刻です。
2025年には、現在よりも人手不足は進み、足りない介護人材は35万人にも38万人にもなると予想されています。

介護ビジネスの未来

しかし、そのような厳しい状況の中でも、将来性のあるビジネスもあります。

介護ロボット

すでに、日本全国で進行しつつある人手不足ですが、介護人材においては特に深刻です。
そのような中で、国も補助金を出すなどの対応で介護ロボットの開発や普及に力を入れています。
様々なものが開発されていますが、すでに評価を高めつつあるものも存在します。
主には、装着型のスーツタイプロボットや、多機能センサーを用いた見守りシステムなどです。

高齢者住宅

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者住宅は、現在も供給が増えつつあります。
今後は、単に収容する住宅を作るのみではなく、地域との共生を目指した施設設計が重要となります。

福祉用具

近年の福祉用具の進歩には、大変驚かされるものがあります。
高齢者の多様な症状に応じた機器の開発は、今後もさらに求められるでしょう。

配食サービス

現時点でも、従来のお弁当屋さんやコンビニ業種の参入も見られています。
食べることは、健康管理面において重要でありながらも、一方では楽しみでもあります。
高齢者向けの食事には、現段階ではまだまだ改善の余地が残されているでしょう。

移送サービス

老々介護世帯や独居高齢者が増える中、外出の手段の確保は重要な問題です。
田舎では、公共交通機関の衰退も背景にあります。
今後も、さらなる活性が望まれる分野です。

介護ビジネスの現状と未来のまとめ

1,「介護ビジネスの実態」のまとめ
介護機関は、医療法人や社会福祉法人以外に営利法人やNPO法人による設置も認められ、比較的に参入が容易な反面、実際の経営には難しい面があります。

2,「介護ビジネスが抱える問題」のまとめ
介護ビジネスには、介護報酬の不正請求や、市場原理の停滞などの様々な問題があります。

3,「介護ビジネスの未来」のまとめ
介護ビジネスには、介護ロボットなどの将来性が高い分野も存在します。
今後、様々な領域の発展が期待されています。



投稿者プロフィール

ケアマネージャー健治
ケアマネージャー健治
私は特別養護老人ホームにて介護福祉士として10年勤務した後、現在は居宅介護支援事業所のケアマネとして勤続4年となります。
そのため、特別養護老人ホームと在宅介護についての経験があります。
今までの経験をもとに介護という仕事を紹介してゆこうと思います。

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