口腔ケアの重要性について

介護 口腔ケア

どうも!、私は医療・介護の世界にて長年働いており、近年の介護事情にも精通している作業療法士の田中です。
毎日の食事の後で欠かせないケアがあります。
それは、歯磨きなどの口腔ケアです。
虫歯や歯周病の予防には欠かせない口腔ケアですが、他にも重要な目的があります。
今回は口腔ケアについて考えてみましょう。
口腔ケアを軽視すると大変なことになりますよ。
しっかり最後まで読んでくださいね。

口腔ケアって何?歯磨きだけじゃダメ?

医療介護の現場にいる私ですが
実は最近まで口腔ケアの重要性が分かっていませでした。
このような文章を書きながら、申し訳なく思います。
以前は、口腔ケアとは歯磨きの介助程度に思っていました。
その認識を変えたのは、ある出来事があってからです。

歯科衛生士の方が、あるケースについて
「舌苔(ぜったい)をブラシで除去しないと……」
と言ったのですが
「何それ?」と聞いてしまったのです。
舌苔とは、舌の表面にできる汚れで、健康な場合はやや白く見えるものです。
多くは、舌の皮膚の細胞が剥がれ落ちたものですが、異常な場合は、真っ白だったり黒っぽく見えたりします。
口腔ケアの専門家にとっては、常識のような事を知らなかったのですから、赤っ恥をかいたようなものでした。

口腔内は、「最強の細菌培養器」などと言われます。
口の中は、温度が37度前後に保たれて、栄養が常に豊富な状態です。
細菌にとっては、このうえない安息の地なのです。
ここから育った細菌は人体の奥の奥まで入り込んでいろいろと悪さをする危険性があります。お口のケアを怠ると、虫歯や歯周病などの病気だけでなく、他にもいろいろな問題を引き起こします。

先ず重要なのは、誤嚥性肺炎という病気です。
食べ物が誤って気道に入った時に、同時に口腔内の細菌も一緒に入り込むと肺炎を発症します。肺炎は、80歳以上の死亡原因の第3位とされています。

口腔内の細菌は、心臓病の引きがねにもなります。
歯周病は、心臓病のリスクを増やすことが分かっています。
ちなみに心臓病は、日本人の死因の第2位です。
お口のケアを怠ることは、本当に怖いことなのです。

口腔ケアが重要な3つの理由

口腔ケアが重要な理由を具体的に挙げてみましょう。

誤嚥性肺炎などの重大な病気のリスクを減らす

誤嚥とは何でしょうか?
人間の喉は、食道と気道に分かれています。
食道は胃へ、気道は肺へとつながっています。
もし、口から入った食べ物が誤って気道に入ったらどうなるでしょうか?
正常であれば、むせて食べ物を気道の外に出そうとする反射が働きます。
しかし、病気や高齢により反射が低下している場合は、そのまま気道に入り込んでしまいます。
これが、誤嚥です。
仮に誤嚥しても、口腔内が清潔に保たれて細菌が繁殖していなければ、肺炎の危険性は減ります。
誤嚥させないことも大事ですが、万が一誤嚥しても肺炎の発症は避けなければなりません。
そのために口腔ケアが重要なのです。

唾液の分泌を促す

唾液には、消化酵素が含まれます。
それ以外にも、口腔内の粘膜を保護したり、飲み込みを助けるなどの働きがあります。
また、生体防御系としては、唾液中の様々な酵素による抗菌作用があります。
唾液の分泌が減り、口腔内が乾燥すると細菌の繁殖が活発化します。

口腔機能低下の予防・改善

介護保険の中でも、口腔機能を向上させるケアには加算がつきます。
それは、口腔機能向上加算といいます。
話すことや食べることは、とても重要な機能です。
日々の口腔ケアは、虫歯や歯周病を予防すると同時に、口の周囲の筋肉を刺激することで話しやすさや食べやすさを向上させ、表情も良くします。

介護 口腔ケア

口腔ケアの方法

高齢者に口腔ケアを行う場合には、いくつかのポイントがあります。
具体的に確認してみましょう。

体位

ベッド上や車椅子上の高齢者に口腔ケアを行う場合は、どうしても上から見下ろすような体位になりがちです。
高齢者の顎が上がった姿勢では、口腔から気道の位置関係が直線的となり誤嚥を招きやすくなります。
介助者がからだを低くして視線を合わせるようにしましょう。
結果として、顎を引いた状態で口腔ケアを行えば誤嚥を防ぐことができます。

口の中の場所と道具

口腔ケアには、当然ですが道具が必要です。
どのようなものがあるのでしょうか?
ジャーン、以下のものを使います。
最近は、ドラッグストアでも簡単に買えますね。

  • スポンジブラシ
  • 綿棒
  • 歯間ブラシ
  • 歯ブラシ
  • 舌ブラシ

どの道具をどの場所に使うのでしょうか?

口腔前庭部

一番を忘れられがちな場所です。
唇と歯ぐきの間ですね。
この場所は、口を大きく開けすぎると、むしろ狭くなってケアがしにくいところです。
スポンジブラシや綿棒で奥から手前へこすりながら汚れを落としましょう。

歯間部

年齢とともに、歯と歯の間や歯と歯ぐきの間に隙間ができますね。
歯間ブラシでケアをしましょう。
市販品でもいろいろな大きさのものがあります。
太すぎるものは歯ぐきを傷めますが、細すぎると十分なケアができません。
ちょうど良いものを選びましょう。

歯の表面

歯ブラシで磨きましょう。

舌ブラシで舌苔をケアしましょう。

口蓋(こうがい)

口蓋とは、上顎の部分です。
手前の硬いところを硬口蓋、奥の柔らかいところを軟口蓋といいます。
軟口蓋はのどちんこのところですね。
スポンジブラシや綿棒などでケアしましょう。

義歯のケア

高齢者は義歯を使用する場合も多いです。
義歯洗浄剤だけでは不十分なので、歯ブラシなどを使います。
触ってヌルヌルするところは、バイオフィルムといって細菌などの塊です。
しっかりとブラッシングしてこすり落とします。

介護の口腔ケアのまとめ

1、「口腔ケアって何?歯磨きだけじゃダメ?」のまとめ
口腔内は、「最強の細菌培養器」。
しっかりケアして、怖い誤嚥性肺炎を防ぎましょう。

2、「口腔ケアが重要な3つの理由」のまとめ
口腔ケアは、重大な病気を予防するだけでなく、唾液を分泌させ、口腔機能低下を予防します。
話しやすさや食べやすさを改善し、表情もよくなりますよ。

3、「口腔ケアの方法」のまとめ
それぞれの場所に応じて適切な道具を使いましょう。
口腔前庭部と呼ばれる、唇と歯ぐきの間も忘れずにケアをしましょう!



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。