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介護の現場の見守り支援機器について

介護 見守り支援機器

どうも!、私は医療・介護の世界にて長年働いており、近年の介護事情にも精通している作業療法士の田中です。
介護は、日本の成長産業でありながら、重労働や人手不足などの難しい問題も抱えています。
ストレスなどが原因と考えられる虐待問題をはじめとして、マスコミでもいろいろな事件や事故が話題にされています。
そのため、これから介護分野を目指す人や、親を介護施設に預けようと考えている人にとっては心配も多いことでしょう。
人手不足解消と安全や安心の確保は、これからも大きな課題と言えます。

しかし、国も数年前より見守り支援機器などの介護ロボットの開発や導入のための支援事業を開始しています。
介護現場の見守り支援機器の導入は、これからが本番と言えます。
また、大切な親を預ける立場としても、介護施設がどのような見守り支援機器を備えているのかは大変気になるポイントです。
いざという時に困らないためにも、見守り支援機器についてしっかりと理解しておきましょう。

見守り支援機器の必要性

介護 見守り支援機器

我が国の介護需要は、ウナギのぼりに高まるとされています。
2025年には、なんと38万人程度の介護人材が不足する見通しです。

今後は、今にも増して限られた人材の効率的な活用が必要となります。
では、現在の介護施設の人員配置は、どのようになっているのでしょうか?

実際の介護の現場での充足率について

特養や老健では、入所者100名に対して、介護職員と看護職員を最低でも34名配置することが義務付けられています。
利用者3人に対して職員1人です。
しかし、実際には夜勤もありますので、昼間でもけっして多くない人数でやりくりをしています。
また、介護施設の夜勤体制には、16時間夜勤や8時間夜勤などがありますが、いずれの場合でも1つの生活棟を2名程度でケアすることとなります。

夜勤にも休憩時間はありますので、1名の職員が休憩する時間帯は、必然的に1名体制となります
1名体制の時間帯に、トイレ介助やコールが重なった場合は大変です。
現実的には、止むを得ずに利用者を待たせてしまい、その間に1人で動いた利用者が転倒してしまい、介護事故を引き起こすことも十分あり得るのです。

介護の現場の夜勤の現状は

また、昨今は中重度者や医療的ケアが必要な利用者が増えつつあります。
そのため、安否確認のための巡視もほぼ1時間ごとに行う必要があります。
夜勤の大きな負担の一つに、利用者の突然の体調悪化があります。
看護師がいる場合はまだ良いでのですが、介護職員だけの時は本当に不安が募ります。
転倒や転落以外にも、睡眠中の急な心肺停止などもありえますので……
利用者が、きちんと呼吸して寝ていることを確認するだけでも大変な労力が必要なのです。

ロボット技術を活用したこれからの見守り支援機器

介護 見守り支援機器

これまでも見守り支援機器は使われていました。
代表的なものが、センサーマットなどです。
ベッドの降り口にマットセンサーを敷き、利用者が離床時にマットを踏むと報知するものです。
他にも、ベッド柵にセンサーを取り付けるタイプや赤外線センサーなどもあります。

最近注目されているのは、ロボット技術を活用した見守り支援機器です。
ロボット技術による見守り支援機器の特徴は、

  • センサーから得られた信号を人工知能により処理する
  • 単なる離床だけではなく、多様な状況を認識する
  • 利用者個々に応じた設定が可能
  • 報知と画像や映像の組み合わせも可能
  • 転倒の予兆検知をすることも可能

などです。

現段階では、様々な企業が独自に開発を始めていて、それぞれに特徴があります。
代表として、私の知っている職場にもある、大手ベッドメーカーが開発したものを見てみましょう。
これは、眠りをスキャンするというコンセプトのものです。
このタイプでは、ベッドのマット下のセンサーにより、寝返りや起き上がり、離床などの状態が報知されます。
それに加えて、睡眠状態や呼吸状態まで分かるという優れものです。
睡眠中に呼吸状態に異常がある場合は、アラームを鳴らして警報します。
集約されたデータは、スタッフステーションのパソコンにて集中管理することができます。
そのため、安否確認のみの見守りは必要なくなり、異常時のみに駆けつける体制をとることが可能となります。 

危機管理以外にも、介護の質を向上させることもできます。
例えば、夜間の眠りの状態を継続的に把握することで、それらのデータを元にトイレ誘導のタイミングを検討することができます。
熟睡の時間帯を避けて、なるべく目覚めた時にタイミング良くトイレ誘導を行うことができれば、利用者にとっても職員にとってもメリットが大きいのです。

ハイテクな見守り支援機器にはスタッフの慣れも必要

非常に便利そうな見守り支援機器ですが、使いこなすにはスタッフの慣れも必要です。
例えば、個々の状態に合わせて設定を行うことが意外と難しくて、慣れるまではセンサーの感度が良すぎてアラームが鳴りっぱなしになるなどの問題もあります。
また、アラームが鳴るタイミングの設定にも注意が必要です。
起き上がりで鳴らすのか?
離床で鳴らすのか?
などを、個々に合わせて設定できますが、職員がそれを良く理解しておかないとかえって混乱を招きます。
使いこなすまでには、それなりの時間と手間も必要と言えます。

また、このタイプの機器はWIFIでデータを転送する方式ですが、実際に使ってみると少し時差があり違和感を感じることもあります。
離床でアラームが鳴るように設定しているにもかかわらず、訪室した時はすでにお部屋を出ていたなどということがあります。
そのような場合は、起き上がりでアラームが鳴るように設定しておくなどの工夫が必要とされます。

見守り支援機器の落とし穴について

他にも、いくつかの落とし穴があります。
私が知っている例ですが、ある利用者では全く離床を報知することができなかった時期がありました。
これでは、結局は頻回な巡視が必要となり、業務の効率化になりません。
そこで、よく確認したところ、センサーの位置がご本人には全く合っていなかったのです。
その利用者は、小柄な上、寝る時はベッドの脚側でさらに身体を小さく丸くしていたのです。
そのため、ベッドの中心付近に設置されたセンサーは全く反応しなかったのでした。
その後、センサーをその利用者が普段寝ている位置に移動したところ、ようやく使えるようになりました。

気づいてみれば簡単な原因ですが、機器の仕組みに疎いスタッフでは、このような調整もなかなか難しいものです。
ただでさえ忙しい夜勤帯に、機器の調整まで行うことはできませんよね。
でも、最近ではスタッフも大分慣れてきて、徐々に使いこなせるようになりつつあります。
きっと、これからは、夜勤の負担が減ってゆくものと期待しています。

介護の見守り支援機器のまとめ

1,「見守り支援機器の必要性」のまとめ
介護職員の夜勤は大忙し。
見守り支援機器を導入することで、業務負担の緩和が望まれます。

2,「ロボット技術を活用したこれからの見守り支援機器」のまとめ
ロボット技術を活用した見守り支援機器の実用化は、これからが本番です。
離床だけではなく、睡眠や呼吸などもモニターすることができます。
ケアの質も向上しそうです。

3,「ハイテクな見守り支援機器にはスタッフの慣れも必要」のまとめ
とても便利な見守り支援機器ですが、使いこなすには慣れ工夫も必要です。
十分慣れて、夜勤の負担軽減を期待しましょう。



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。