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介護老人保健施設にまつわる3ヶ月間のルール

介護 老健

どうも!、私は医療・介護の世界にて長年働いており、近年の介護事情にも精通している作業療法士の田中です。
介護保険の施設には、主に老人保健施設と介護老人福祉施設などがあります。
介護老人保健施設は、よく老健と呼びます。
介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとも言いますので、よく特養と呼ばれます。
皆さんは、この二つの違いをご存知でしょうか?
エッ!「見た目も名前も似たようなものだろう」ですか?
たしかに、〇〇荘とか、〇〇苑とか似ていますよね。
でも、実は役割は大きく異なります。
今回は、老人保健施設についてご紹介をしましょう!

老人保健施設とは?

介護老人保健施設と介護社会福祉施設の違いって何でしょうか?
老人保健施設には、医師やリハビリ専門職の配置が義務付けられており、医療ケアやリハビリテーションが充実しています。
介護老人保健施設が、在宅復帰のための中間施設であることに対して、介護老人福祉施設の方は介護が必要な方の生活の場なのです。
ですから、後者は終の住処となる可能性もあります。
老人保健施設には、巷では「3ヶ月ルール」というものがあると言われています。
これについては、いろいろと誤解もあるようです。
どのような誤解でしょうか?

「老人保健施設は3ヶ月間で退所しなければいけないの?」
いいえ、そうではありません。
しかし、3ヶ月ごとに入所継続判定会議を行う必要があります。
また、3ヶ月間で「短期集中リハビリテーション」や「認知症短期集中リハビリテーション」が終了します。
「短期集中リハビリテーション」とは、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職による個別のリハビリテーション実施のことで、週に7日間実施することが可能です。
「認知症短期集中リハビリテーション」も同様にリハビリ専門職による個別の認知症リハの実施のことで、こちらは週に3日間の実施が可能とされています。
在宅復帰にはリハビリテーションが欠かせません。
しかし、4ヶ月目からは、集中的なリハビリテーションが実施されなくなりますので、ケアプランの見直しや入所継続の必要性を検討する必要があるのです。

老人保健施設ではリハビリ専門職と介護職員がコラボしてリハビリを実施

リハビリ

老人保健施設におけるリハビリテーションとはどのようなものでしょうか?
リハビリ専門職による個別リハの実施は、一つの特徴です。
これは、特養には無いものです。
しかし、1日の内の僅か数十分間の個別リハのみでは、利用者の生活機能は向上しません。
そこで、普段の生活の中でのリハビリテーション、いわゆる「生活リハ」という考え方が必要になります。

ある老人保健施設の一日です。
利用者は、Aさん、男性、要介護度は3です。
半年前に脳梗塞により倒れ、急性期病院からリハビリ病院を経て入所されました。
右半身に麻痺があり、現在は車椅子にて移動を行っています。
言葉が少し不自由なためか、時間や場所の記憶が曖昧になっています。

今は、午前10:00。
デイルームで、集団体操の真っ最中です。
指導するのは、介護福祉士のサユリさんです。
高校卒業後にこの老人保健施設に就職して、現在は7年目です。
爽やかな笑顔が魅力的で、施設のHPにも登場しています。
ただ、最近、時々腰痛にみまわれることが悩みです。

そこに、理学療法士のシンジ君が来ました。
シンジ君は、就職して5年目です。
丁度、集団体操が終わりました。
Aさんの個別リハの時間なのです。
この施設では、車椅子の利用者もなるべく普通の椅子に乗り移って日常生活を送るようにしています。
生活の中で脚腰を使う機会を増やして、在宅復帰を目指しやすくするためです。
勿論、椅子も利用者の脚の長さに合った高さに調整されています。
サユリさんは、いつもように椅子から車椅子への乗り移りを介助します。
シンジ君はそれを見守ります。
いつもどおりのスムースな介助です。
Aさんの能力を生かしながら、手伝いすぎないように介助しています。
ただ、シンジ君はサユリさんの動きがいつもに比べて不自然なことに気づいていました。
「今日は、きっと腰が痛いんだ」

その後、場所をリハビリ室に変えて、個別リハが始まります。
麻痺により萎縮した筋肉をストレッチして、体幹と健側半身の筋力訓練を行います。
その後に立ち上がり訓練や歩行訓練を実施します。
「今日は、調子が良いので階段も練習しましょう」
シンジ君の励ましにAさんも嬉しそうです。
Aさんは、30分間の個別訓練に加えて、自主訓練や物理療法なども含めて約I時間汗を流しました。
「さあ、今日はここまでにしましょう」
「午後からは、認知訓練もおこないましょう」

デイルームにAさんを送り届けたシンジ君は、サユリさんと情報交換をします。
足腰が大分強くなってきたので、乗り移りをこれまでの一部介助から見守りに変えて様子を見て欲しいことを伝えました。
その上で、腰痛のサユリさんを気遣って、コルセットの紹介や簡単な腰痛体操を教えたのでした。シンジ君の親切心にサユリさんも嬉しそうです。
このように老人保健施設では、リハビリ専門職による個別リハと介護職による生活リハが両輪のように実施されることが理想です。
これらにより、日々の生活そのものがリハビリになるように工夫をしているのです。

介護老人保健施設にまつわる3ヶ月間のルールのまとめ

1,「老人保健施設とは?」のまとめ
老人保健施設では、3ヶ月間で集中的なリハビリテーションが終了します。
以後は、3ヶ月ごとに入所継続会議が実施されてケアプランが見直されます。

2,「老人保健施設ではリハビリ専門職と介護職員がコラボしてリハビリを実施」のまとめ
老人保健施設は、在宅復帰のための施設。
リハビリテーションが重要です。



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。