介護保険の16特定疾病とは?

介護保険 特定疾病

どうも!、私は医療・介護の世界にて長年働いており、近年の介護事情にも精通している作業療法士の田中です。
皆さんは、「介護保険特定疾病」って、ご存知でしょうか?
また、「2号被保険者」って、ご存知でしょうか?
介護保険は、基本的には65歳以上の高齢者のための制度です。
でも、実は介護保険サービスの対象者は、高齢者だけではありません。
今回は、高齢者でなくても介護保険サービスの恩恵を受けることができる、特定疾病についてご紹介しましょう。

40歳で脳梗塞になった友人のはなし

私の友人が、脳梗塞になったのは彼が40歳の時でした。
もともと、高校時代から野球に打ち込み、健康には人一倍自信を持っていました。
市役所に勤め、実直で正義感が強く、周囲から信頼される男でした。
几帳面でもあり、愛車の銀色のステーションワゴンはいつもピカピカでした。

そんな彼が、突然、脳梗塞に倒れたのです。
晩酌の途中に急にグラスを落とし、左顔面が麻痺し始めたそうです。
救急車で病院に運ばれ、なんと半年にも及ぶ入院生活をおくりました。
しかし、残念なことに左半身の麻痺は治らずに、退院時点でも杖をついてようやく歩けるような改善具合でした。

2号被保険者ってなに?

後遺症は残ったものの、彼は回復への希望を失ってはいませんでした。
それどころか、必ず治るという強い意思を持っていました。
リハビリは、すでに生活の一部でしたので、退院後も続けるつもりでした。
ところが、ひとつ問題がありました。

彼には通院のための交通手段がなかったのです。
働いている奥さんを、毎日のように通院に付き合わせるわけにはゆきません。
そこで、送迎付の通所リハビリを利用することにしました。
介護保険サービスの一つで、デイケアとも言われています。

介護保険は、一般的には65歳以上の高齢者のための制度として知られています。
しかし、介護保険制度では、40~64歳までの、全国健康保険協会などの加入者を2号被保険者と呼び、保険料を徴収しています。
この、2号被保険者の中で、特定疾病と言われる16の病名がある場合は、40歳からのサービスの利用が可能なのです。
脳梗塞などの脳血管疾患は、それらの特定疾病の一つです。

16の特定疾病とは?

16の特定疾病は、国が指定しているものです。
加齢に伴い、要介護状態を招く病気と考えられています。
多くは65歳以上で発症しますが、40~64歳の年齢層においても医学的に見て発生率が高く、継続的に要介護状態を招きやすいとされる疾病です。
以下、具体的に説明いたします。

1.がん末期

医師が医学的判断に基づき、回復の可能性が無い状態の場合に限ります。

2.関節リウマチ

免疫の異常が原因です。
本来は、外部からのウイルスなどを撃退するはずの免疫系が、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃することで関節炎などが生じる自己免疫疾患の一つです。
関節の炎症により、軟骨や骨が破壊され変形することが主な症状です。

3.筋萎縮性側索硬化症

国が指定する神経難病の一つです。
進行性の病変で、全身の筋肉が萎縮して末期では呼吸筋まで侵される病気です。
運動神経の障害ですので、感覚や知能、視力、聴力、内臓の機能などは保たれます。
最近、バケツで氷水を浴びる運動でも話題を集めました。

4.後縦靭帯骨化症

背骨の靭帯の一つでである後縦靭帯が骨化する病気です。
それにより、脊髄が通る脊柱管が細くなり、神経を圧迫します。
感覚障害や運動障害を生じます。

5.骨折を伴う骨粗鬆症

骨粗鬆症により骨折した場合です。

6.初老期における認知症

40~64歳にて発症する認知症を初老期認知症といいます。
それより若い時期では、若年期認知症といいます。

7.パーキンソン病関連疾患

・パーキンソン病
・進行性核上性麻痺
・大脳皮質基底核変性症

パーキンソン病をカミングアウトした有名人は多数います。
ボクシングのモハメド・アリや「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスなどですね。
パーキンソン病が特に有名ですが、似たような症状を示す関連疾患が実は数多く存在します。
いずれも神経難病に指定されています。

8.脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症も神経難病の一つです。
10年以上も前ですが、「1リットルの涙」という小説が、テレビドラマ化や映画化されました。
あの主人公の病名が脊髄小脳変性症です。

9.脊柱管狭窄症

加齢による様々な原因で、脊髄が通る脊柱管が狭くなります。
それにより、神経が圧迫され歩行障害やしびれなどが出現します。

10.早老症

早期老化症とも言われ、老化の徴候が実際の年齢よりも早く見られる病気の総称です。
遺伝子の異常が関与していると言われています。

11.多系統萎縮症

これも神経難病の一つです。
過去には別の病気と考えられていた、シャイ・ドレーガー症候群などの3つの病気が、一つの症候群としてまとめられて多系統萎縮症という病名になりました。

12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症

糖尿病では、2次障害として様々な症状が現れますが、神経障害、腎症、網膜症は特に3大合併症と呼ばれています。

13.脳血管障害

今回の主人公をはじめ、多くの方々が後遺症で苦しんでいます。
脳の血管が詰まったり破れたりすることで、様々な神経症状が現れます。
半身麻痺や運動失調、失語症などが主な症状です。

14.閉塞性動脈硬化症

生活習慣病の影響として動脈硬化症が生じると、しびれや疼痛、歩行障害などの様々な症状
現れます。

15.慢性閉塞性肺疾患

喫煙や受動喫煙などが原因で、気管支に炎症がおき、慢性的な呼吸機能低下を生じるものです。

16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

様々な要因で起こる関節が変形して関節の痛みや腫れを伴う特定疾病です。

介護保険の16特定疾病のまとめ

1,「40歳で脳梗塞になった友人のはなし」のまとめ
脳梗塞は、後遺症が残ることもある怖い病気。
仮に40歳代で発症しても、介護保険は利用できます。

2,「2号被保険者ってなに?」のまとめ
介護保険制度では、40~64歳で、全国健康保険協会などの加入者を2号被保険者と呼びます。
2号被保険者の中で、特定疾病と言われる16の病名がある場合は、40歳からのサービスの利用が可能です。

3,「16の特定疾病とは?」のまとめ
16の特定疾病は、国が指定しているものです。
加齢に伴い、要介護状態を招く病気と考えられています。

40歳で脳梗塞を発症した私の友人は、その後も介護保険でリハビリを継続しました。
その結果、現在では杖がなくても屋外が歩けるようになり、左手でカバンを持つことが可能となり、そして、最近では自転車に乗れるまでに回復しました。
2号被保険者に該当する若い患者さんには、リハビリの効果も表れやすいものです。
まさに、「継続は力なり」なのです。



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。