※この記事は約4分で読むことができます。

年々、増え続ける介護事業所の倒産
社会の高齢化により、介護需要はうなぎ登りのはずなのに、どうして倒産するのでしょうか?
デフレの続く現在の日本においては、数少ない安定的な成長産業ではなかったのでしょうか。
倒産の理由とその背景を探ってみましょう。

過去最悪だった2017年の介護倒産

間近に迫った、2018年4月の診療報酬と介護報酬のダブル改定。
福祉制度の改定も併せて行われるので、トリプル改定という表現もされます。

 

2017年(1月−12月)の医療、福祉事業の倒産件数は、256件にものぼります。
これは、2000年度に介護保険制度が始まってから最多でした。

 

目立ったのは、老人福祉と介護事業で、111件を数えました。
その一方で、負債総額については、2年連続の増加ではあったものの、ピーク時に比べると約3分の2程度にとどまっています。
これは、倒産した事業所が、負債1億円未満の小・零細規模が大半だったためです。
いわゆる小規模倒産が多かったということです。

 

介護事業以外では、マッサージ業、整体院、整骨院などの療術業、病院・医院、障害者福祉事業などが多かったようです。
介護事業所も事業所なども、小規模が多いと言えます。

 

たしかに、この数年で小規模のデイサービスや整骨院などが随分と増えました。
福祉関連事業所についても、小規模の生活介護施設や就労施設などが増えています。
近年は、歯科医と小規模介護施設はコンビニエンスストアよりも多いという話すらあります。

介護倒産の理由は何?

深刻な倒産ですが、その理由は何でしょうか?
高齢社会で、介護需要は増えているはずではないのでしょうか?

販売不振

一番の理由は販売不振で、過半数を占めています。
販売不振というと、少し分かりにくいようですが、要するに利用者などが集まりにくいということです。
他には、事業上の失敗や赤字累積などが目立ちます。
これらは、要するにビジネスとして失敗をしているということになります。

 

この背景には、一体何があるのでしょうか?
これは、準備不足での起業や他業種からの参入が多いという事実があります。
小規模の介護事業所の立ち上げは、比較的ハードルが低いため、高齢社会の波に乗ろうする安易な事業参入が目立つのです。

 

しかし、現実はそれほど甘くはないと言えます。
介護事業は、報酬設定からしてそんなに儲かる事業とはいえません。
今後は、さらに基本報酬は切り下げられて、優秀な事業所だけが加算で生き延びられるというような制度設計になりそうです。

 

起業については、どこかの施設で働いた経験がある専門職が行う場合があります。
しかし、医療や介護の専門職は本来、専門業務の教育は受けていますが、経営やマネジメントに関しては素人同然の人もいます。
経営とは、そう簡単ではないということでしょう。

人手不足

介護倒産の理由でもう一つの目立つ理由は
人手不足だと言われています。

 

実際に、日本ではあらゆる産業に少しずつ人手不足の影響が現れつつあります。
そして、介護分野にはさらに深刻な問題があります。
最近、全産業における有効求人倍率が上昇しつつあります。
人手不足の数字的な裏付けです。

 

未だ、実質賃金の上昇はみられませんが、今後は少しずつ好転するでしょう。
これからは、様々な企業の間で、人材の奪い合いが始まると思われます。
そうなると、介護分野の人手不足はさらに加速するでしょう。

特に小規模介護事業所が倒産する理由

小規模介護事業所の倒産において、目立つのは何でしょうか?
国のデータでは、まだ明らかになっていません。
しかし、可能性として多そうなのは、小規模のデイサービスだと思われます。

 

実は、小規模のデイサービスはこの数年で急成長した分野です。
本当に、いろいろなところで小規模デイサービスが増えました。
閉店したコンビニ店舗を改修してオープンしている例も多いようです。
小規模デイサービスの中には、リハビリ特化型と言われるものがあります。
3時間以下の短い時間を利用して、機能訓練やジムトレーニングを行い、入浴や食事は重視しないというやり方です。

 

一見すると、少ないスタッフで10名程度の利用者をケアして、午前と午後の2クールなどで回せば、とても効率的に思えます。
実際、それを目当てにした異業種参入も目立ちました。

 

しかし、平成27年度を境にして、国はこの小規模デイサービスを見直して、報酬単価を下げました。
要するに、増えすぎたということなのです。

 

国の施策には、このように新規参入を促す時には報酬を上げて、減らしたくなったら報酬を下げるという手法がしばしば見られます。
国民の税金を基に実施される制度ですから、仕方がない面もありますが、なかなか厳しい世界です。

介護施設の倒産のまとめ

1,「最悪だった2017年の介護倒産」のまとめ
年々増え続ける介護倒産ですが、2017年は過去最高でした。
中でも、小規模事業所の倒産が目立ちます。

2,「介護倒産の理由は何?」のまとめ
介護倒産の理由は、販売不振と人手不足です。
安易な事業参入が問題です。
人手不足の影響は、これからさらに深刻です。

3,「特に小規模介護事業が倒産する理由」のまとめ
小規模のデイサービスは、報酬引き下げの影響も大きく受けました。
需要が高まる介護事業ですが、一方では厳しさもあります。



投稿者プロフィール

ケアマネージャー健治
ケアマネージャー健治
私は特別養護老人ホームにて介護福祉士として10年勤務した後、現在は居宅介護支援事業所のケアマネとして勤続4年となります。
そのため、特別養護老人ホームと在宅介護についての経験があります。
今までの経験をもとに介護という仕事を紹介してゆこうと思います。

ケアマネージャー健治のプロフィール