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介護の食事の事故の誤嚥を防ぐ

介護 誤嚥

私は医療・介護の世界にて長年働いており、近年の介護事情にも精通している作業療法士の田中です。
利用者さんの食事場面で気を使うのは、なんといっても誤嚥(ごえん)や喉へのつまりなどですよね。
私の職場でも、食事介助は丁寧に声をかけたり、食べるペースを大事にしながら行ってます。
でも、時々重要なポイントが「結構軽視されているな〜」と思うことがあります。

それは、姿勢です。
誤嚥を防ぐには、正しい姿勢で食事を行う必要があります。
正しい姿勢で食べれば、誤嚥を怖がらなくても大丈夫。
今回は、誤嚥と姿勢について考えてみましょう。

怖い誤嚥って何?

介護 誤嚥

誤嚥とは何でしょうか?
人間の喉は、食道と気道に分かれています。
食道は胃へ、気道は肺へとつながっています。
もし、口から入った食べ物が誤って気道に入ったらどうなるでしょうか?
正常であれば、むせて食べ物を気道の外に出そうとする反射が働きます。
しかし、病気や高齢により反射が低下している場合は、そのまま気道に入り込んでしまいます。
これが、誤嚥です。
気道に食べ物などが入り込むと、同時に口腔内の細菌も肺に入り込みます。
この細菌により肺炎が発症することを、誤嚥性肺炎と呼びます。
誤嚥などによる肺炎は、80歳以上の死亡原因の第3位とされています。

誤嚥を防ぐ方法を理解していないと後悔しますよ!

正しい飲み込みとは?
普段何気なく食べている私たちですが、飲み込みには正しいメカニズムがあります。
飲み込みのことを嚥下(えんげ)といいます。
嚥下には、以下の5つの流れがあります。

1、先行期(認知期)

目で見る、匂いをかぐ、手触りを感じるなどを通じて、食べ物の形や硬さ、温度などの判断する過程です。
食べ物が美味しそうなことを予想して、身体が食べる準備を行う時期です。
例えば、梅干を見ると、それだけで口が勝手に反応して唾液があふれてきますよね。
カレーの匂いをかいだだけで、お腹が「グー!」と鳴ったことがありませんか?
それが先行期です。

2、準備(そしゃく)期

食べ物をよく噛むことをそしゃくといいます。
良くかむことで、食べ物を飲み込みやすい状態にします。
かむと唾液がでますので、食べ物と唾液が混ぜ合わされることで食塊(しょっかい)が形成されます。
そしゃくは同時に、食べ物を味わう過程でもあります。
甘さや辛さなどの舌が感じる様々な味に加えて、歯ごたえや舌ざわり、暖かさや冷たさなども味覚の要素です。
食事の最大の楽しみですね。

私たちは、かむ運動をほぼ無意識的に行っています。
そのため、自分がどのようにしてかむ運動を行い食塊を形成しているかを通常は自覚していません
それぐらい、自動的に顎や舌や唇などが複雑に協調しているのです。

3、口腔期

舌の運動を使って、食塊を喉の方へ送ります。

4、咽頭(いんとう)期

食塊をゴックンと飲み込み、喉から食道へ送ります。
この時に、喉頭蓋(こうとうがい)というフタが閉じて気道をふさぎます。
一時的に呼吸も止まりますが、このフタの作用により食べ物は気道ではなく食道に流れる仕組みになっています。

ゴックンと飲み込むことは、外から見るとわずかにうなづくような運動です。
このうなづきに合わせて喉頭蓋が閉じるのです。
誤嚥は、この喉頭蓋がタイミングよく閉じないことで、食塊の一部が気道に入ることで生じます。

5、食道期

食道から胃へ食塊が運ばれます。

正しい姿勢で誤嚥を防ぎましょう!

正しい嚥下を促して誤嚥を防ぐには、姿勢が重要です。
自然な食事姿勢は、前かがみが基本です。
介護 誤嚥

具体的に考えてみましょう。

高すぎないテーブル

小柄な高齢者の場合、市販のテーブルでは高すぎる場合があります。
これでは、前かがみ姿勢が保てません。
椅子に座った姿勢で、おへその高さがちょうどいいです。

脚の長さにあった椅子

椅子の高さは、膝から下の脚の長さに合わせます。
高過ぎても低すぎても、良い姿勢はとれません。

足のうらが床につく

適切な高さの椅子に座れば、足のうらが床につきます。
前かがみを保つには、足のうらで身体を支える必要があります。

正しい前かがみ姿勢と嚥下にはどのような関係があるのでしょうか?

先行期

食べ物へ手を伸ばす時は、自然と前かがみになります。
同様に、よく見ようとしたり匂いをかぐ時にも、普通は身を乗り出すようにして前かがみをとります。
もし、前かがみ姿勢がとれないと、食べ物をしっかり認識して身体の準備を作ることができないのです。

準備(そしゃく)期から口腔期にかけて

そしゃくして喉へ送り込むことは、顎や舌が複雑に協調した運動です。
正しい前かがみ姿勢は、運動に安定性をもたらします。

咽頭(いんとう)期

ゴックンすることは、わずかにうなづくような運動です。
前かがみ姿勢になれずに、うしろにもたれたり、首が反り返った状態では誤嚥がおこります。
非常に重要なことなので、ついつい軽視されがちです。
特に、背中が丸くなったお年寄りでは、首が後ろに反っていることが多いのです。
確実に前かがみ姿勢になることが、とても大切と言えます。

食事の誤嚥を防ぐ方法のまとめ

1、「怖い誤嚥って何?」のまとめ
食べ物が気道に入ることが誤嚥です。
誤嚥による肺炎は、80歳以上の高齢者の死因の第3位です。

2、「正しい飲み込みとは?」のまとめ
嚥下の5つの流れを理解しましょう。

3、「正しい姿勢で誤嚥を防ぎましょう!」のまとめ
自然な食事姿勢は、前かがみが基本です。
前かがみ姿勢で誤嚥を予防しましょう。



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。