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作業療法士の田中です。
介護には様々な理論がありますね。
その中でも、最近注目を浴びつつあるのが、竹内理論です。
竹内理論は、4つの柱からなります。
4つの柱の1つづつは、それほど複雑なものではありませんが、実際に介護現場で実践するのは容易ではありません。
今回は、竹内理論について学びましょう。

竹内理論の4つの柱

竹内理論では、介護において4つのことを重視します。

  • 水分摂取
  • 自然排便
  • 食事
  • 運動

竹内理論では、高齢者ケアの基本は、しっかり水を飲んで、普通の食事を摂り、運動をして、自然な排便を促すこととされています。

竹内理論と水分摂取

水分摂取のポイントは、1日1,500cc以上です。
1,500ccと言えば、ペットボトル3本分です。
それだけの量を、食事以外で摂取するとなると、それなりの意識と高い専門性が求められます。
我々健常者でも、「そんなに飲んでいない!」
という意見が聞かれそうです。
しかし、水分の不足は様々な問題を引き起こします。

意識障害

高齢者の身体の総水分量は、およそ体重の50%です。
そのうちの、1~2%が足りないだけで意識障害が起こるのです。

体重50kgの場合では、水分量は25Lですから、250~500mlの水分量不足により意識障害が生じます。
およそ、ペットボトル1本程度の不足です。
実際に、高齢者がぼんやりしていたり、傾眠が目立つということは多いのではないでしょうか?
そのような場合は、水分不足の可能性が高いのです。

発熱

総水分量の2~3%の不足により、発熱が生じます。
一般的には、37度以上を微熱と呼びますが、高齢者は元々体温が低くなりやすいため、36.5度でも微熱の可能性があります。
他に症状が無いのに、何故か体温だけが高めということを経験したことはありませんか?
そのような場合も水分不足の可能性が高いのです。
水分不足に伴い、発熱が生じると脳梗塞発症の危険性が高まります。
高齢者の脳梗塞が、明け方に多いのは水分不足による脱水が背景にあるのです。

運動機能低下

総水分量の5%が不足すると、運動機能低下が生じます。
手足に力が入らない、歩行時にふらつきが見られるなどは、水分不足の可能性があります。
一概に、筋力低下などと決めつけるのは危険なことです。

幻覚

総水分量の7%が不足すると、幻覚が生じます。
幻覚は、興奮状態を伴いせん妄と呼ばれる状態になります。
幻覚は、認知症の周辺症状としても現れますが、実は水分不足でも起こるのです。
幻覚の全てが、認知症状とは限らないのです。

以上のように、水分不足は、意識障害や幻覚などの認知症状や、運動機能低下などともまちがえられやすいことを良く覚えておきましょう。

竹内理論と排便

排便では、自然排便を重視して、おむつや下剤を徐々に無くしてゆきます。
もちろん、便失禁がある高齢者に対して、いきなり行うのは無理ですよね。
そこで、竹内理論では、定時排便と座位排便を取り入れます。
排便のリズムをつかむには、朝食後にトイレへ座ることを習慣づけることが効果的です。
経験的にも、多くの人が、朝食後は便意を感じやすいでしょう。
これは、朝食後は、胃大腸反射が起こりやすく、夜間にS状結腸に溜まった便が一気に直腸へ流れやすいからです。
仮に、便意がない状態でもトイレに座ります。
座位で腹圧をかけることで、直腸からの便は出やすくなります。
未だ、S状結腸に便が止まっている場合でも、座位姿勢でいることで便の移動が起こりやすくなります。
この時に、トイレでの座位はやや前かがみ姿勢をとりましょう。
これにより、直腸と肛門の角度が少なくなることで直腸への便の移動が促進されます。

竹内理論と食事

食事については、1日1,500calの摂取を目指します。
一般的な施設では、1,200kcal程度が多いでしょう。
これは、高齢者は基礎代謝が低いことに加えて、少し前までは安静介護が基本だったためです。
しかし、現在では、安静介護は廃用症候群を作る原因ともなりますので、少しでも運動をすることが推奨されます。

また、近年は高齢者の低栄養が問題となっています。
確かに、肥満は健康上にも良くはありませんが、BMIが低い高齢者にまで体重増加を不安視するのは本末転倒です。
また、自然排便を促すには、ある程度の食物繊維と水分が必要です。
炭水化物には、糖質以外に食物繊維が含まれていますので、ご飯などからある程度のカロリーを摂取することは重要なのです。

竹内理論理論と運動

運動は、起立や歩行を重視します。
老人保健施設では、リハビリがプログラムに入っている場合もありますが、それだけでは運動量は不足です。
時間を決めたリハビリだけでなく、1日の生活の流れの中で何度も起立や歩行を取り入れることが重要です。
昼間のトイレへの移動に歩行を取り入れると、それだけでかなりの歩行量になります。
歩行が困難な利用者の場合でも、可能な限り乗り移り動作を多くします。
それには、車椅子への座りきり介護を止めて、身体に合った適切な椅子を使います。
トイレの度に乗り移り動作を行えば、それだけでも下半身の筋肉や関節への刺激となるのです。

介護の竹内理論のまとめ

1, 「竹内理論の4つの柱」のまとめ
竹内理論では、水分摂取、自然排便、食事、運動を重視します。

2, 「竹内理論と水分摂取」のまとめ
水分摂取は、1日1500cc以上を基本とします。
水分不足は、意識障害や発熱、運動機能低下、幻覚などの原因になります。

3, 「竹内理論と排便」のまとめ
おむつや下剤を無くすには、定時排便と座位排便が大事です。

4, 「竹内理論と食事」のまとめ
食事は、1日1500Kcalを目指します。
低栄養予防だけでなく、自然排便にも有効です。

5, 「竹内理論と運動」のまとめ
運動は、起立や歩行を重視します。
1日の生活の流れの中で、何度も起立と歩行を取り入れることが重要です。



投稿者プロフィール

作業療法士の田中です。
作業療法士の田中です。
30年以上に渡り作業療法士という仕事をやっています。
現在は老人保健施設のリハビリの管理職として勤務をしています。
介護の資格は作業療法士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターを取得しています。
こちらでは介護のシステムや介護機器についての記事を書いてゆきます。